3.平衡潮汐

海面が潮汐力といつも平衡してバランスを保っているとすると、海面の形は潮汐ポテンシャルと同型になり、(14)式で与えられる。これを平衡潮汐という。ところで、地球表面上の単位質量に働く平均的な重力gを考えると、
g=G・E/a2
(15)
となる。これを使って、(14)式を変形すると、
W=3/2・g・(M/E)・(a/d)3・a(cos2θ-1/3)
=2・D・(c/d)3・(cos2θ-1/3)
(16)
D=3/4・g・(M/E)・(a/c)3・a
(17)
となる。ここで、cは地球と月の平均よりであり、c/dはその変化率を示す。すなわち、Dは潮汐力を起こす天体毎に決まる定数であり、(16)式は、潮汐現象を起こすのが、距離の変化c/dと天体の見える角度の変化θであることを示している。ちなみに、太陽の場合のDを月のものと比較すると、約0.459Dで与えられる。
(出典 海上保安庁発行 書誌第742号 日本沿岸 潮汐調和定数表)

4.潮汐ポテンシャルの展開

天体の直下点の経緯度を(α'、δ)、観測点の経緯度を(α、φ)とする。
図5
図5
観測点を通る子午線と天体を通る子午線の間の核を時角Tと呼び、T=α'-αとなる。cosθは、Tとφ、δを使って、
cosθ=cosφcosδcosT+sinφsinδ
(18)
と表すことができる。これを(1)式に代入して、整理すると
W=D・(c/d)3{cos2φ・cos2δ・cos2T+sin2φ・sin2δ・cosT
+3(sin2φ-1/3)・(sin2δ-1/3)}
(19)
となる。時角Tは、地球の自転と天体の運行によってほぼ1日で360度変化する。
すなわち、{}の中の各項は、
第1項:半日周期、cos2Tで表される1日2回の周期成分
第2項:1日周期、cosTで表される1日1回の周期成分
第3項:長期周期、Tで関係せず、1日ほとんど一定の成分
に分けられる。このような潮汐現象を構成する各周期成分のことを分潮という。
しかし、このような分潮に分けたとしても、それぞれの係数は、(c/d)3・cos2δのように時間的に一定でない。そこで、三角関数の公式を用いて、
cos2δ・cos2T=(1+cos2δ)/2・cos2T
=1/2cos2T+1/2cos2δ・cos2T
=1/2cos2T+1/4cos(2T+2δ)+1/4cos(2T-2δ)
(20)
というように、より詳しい分潮に分ける。このことを潮汐ポテンシャルの展開と呼ぶ。
地球と月または太陽との相互の関係の基本的な変化としては、約1日、1月、1年周期があげられる。従って、潮汐現象を分潮毎に論ずる時には、半日周期というような言い方が行われるが、当然、この分潮の振幅は月や太陽の位置によって変化するものであることを考慮して置く必要がある。
分潮の展開にはcos関数が使われ、その引数は天文引数(astronomical argment)と呼ばれる。展開がsin関数となる時は、引数に90度を加減している。
(出典 海上保安庁発行 書誌第742号 日本沿岸 潮汐調和定数表)

5.天文引数

天体の位置は、太陽(地球)の軌道(黄道)面に準拠した黄経・黄緯によって表すが、軌道傾斜や昇交点(各天体の軌道が黄道を南から北に横切る点)、近地点(各天体の軌道の地球と最も近い点)、さらに離心率がわかっていれば、各軌道要素の黄経のみで示すことができる。従って、地球の自転に関係した時角と各要素の黄経を使って、各分潮の天文引数Vは、
V=V(a1、a2、a3、a4、a5、a6)
=a1T+a2s+a3h+a4p+a5N+a6ps
(21)
と表される。ここで、Tは平均太陽の時角、sは月の平均黄経、hは太陽の平均黄経、pは月の近地点の平均黄経、Nは月の昇交点の平均黄経、psは太陽の近地点の平均黄経である。a1~a6は、整数のパラメータである。すなわち、各天文引数Vは、6個の天体の運行に基づく基本的な角度を整数倍した組み合わせによって算出される。このようにして、6個のパラメータによって展開された数百の分潮が知られているが、海洋潮汐の場合、実用的に大きい振幅を持つのは十数文長に過ぎない。
(出典 海上保安庁発行 書誌第742号 日本沿岸 潮汐調和定数表)

6.天体の運行

天体の運行及び時刻系についての詳しい説明は、水路部から毎年発行されている天体位置表(書誌第684号)を参照されたい。ここでは、潮汐計算に必要な説明にとどめる。
平均太陽は、天の赤道上を一定の速度で動くと仮想された太陽で、その時角は、1日24時間で360度、1時間で15度の割合で変化する。太陽の平均黄経h及び太陽の近地点の平均黄経psは、
h=280.466449+0.985647360d+0.0003036T2
(22)
ps=282.937348+0.0000470783d+0.0004597T2
(23)
で概算される。ここでTは2000年1月1.5日(1月1日12時UT)からの時間経過を36525日単位で測ったもの、dは同じく日単位で測ったものである。
月の平均黄経s、月の近地点の平均黄経p、月の昇交点の平均黄経Nは、
s=218.316656+13.17639647754d-0.001330T2
(24)
p=83.353243+0.11140352392d-0.010324T2
(25)
N=125.044556-0.05295376276d+0.002076T2
(26)
で計算される。
潮汐計算では、天体の位置計算ほどの高い精度は要求されないので、高次の項T2を省略し、さらに、時間の元期を2000年1月1日0時UTに直して、
s=211.728+129.38471(Y-2000)+13.176396(D+L)
(27)
h=279.974-0.23871(Y-2000)+0.985647(D+L)
(28)
p=83.298+40.66229(Y-2000)+0.111404(D+L)
(29)
N=125.071-19.32812(Y-2000)-0.052954(D+L)
(30)
ps=282.937+0.01718(Y-2000)+0.000047(D+L)
(31)
の略算式を用いる。ここで、Y=西暦年、D=Y年における1月1日からの経過日数、L=[(Y+3)/4]-500=Y年の年初と2000年年初の間の閏日の数、ただし、[]は中の値の整数部分を表し、2000年以前はマイナスの数として数える。例えば、1994年はL=[(1994+3)/4]-500=[499.25]-500=499-500=-1となる。
(出典 海上保安庁発行 書誌第742号 日本沿岸 潮汐調和定数表)
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10月2日(月)
85.3 中潮
10月3日(火)
91.8 大潮
日の出没・月の出没
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航海薄明
4:30
4:48
市民薄明
5:00
5:17
日出
5:26
5:42
正中
11:33
11:50
日没
17:41
17:57
市民薄明
18:06
18:22
航海薄明
18:36
18:51
天文薄明
19:06
19:21
月齢
29.4
29.4
月輝面
0.1%
0.1%
月出
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5:22
正中
11:32
11:49
月没
17:53
18:09
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